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北九州市保育セミナー2022を開催しました。

令和5年2月6日(月)、リーガロイヤルホテル小倉において、北九州市保育セミナー2022の講演がありました。

まず初めに「決算書から見る施設経営」と題して松本和也氏より、続いて「子ども達のための持続可能な園経営を考える!」と題して桑戸 真二氏よりご講演をいただきました。

講演①「決算書から見る施設経営」

講師:株式会社 福祉総研 松本 和也氏

まずは経営環境の変化として、現在全国の認可保育施設の5割超が人口減少の影響による定員割れの為、施設の維持に影響が生じる可能性があるという認識を持っています。そのために必要と考える取り組みとしては、主に保育の質の改善や魅力の向上、社会福祉事業の拡大や閉鎖、そして現状として子どもの実利用人数に合わせた定員変更が必要であることなどが挙げられました。

最後に総括として、施設が存続するための制度改革としては①定員変更の推進②定員割れ施設に対する増額措置③実利用児童数に基づいた単価の適用・・・これが一番必要だと言われました。続いて④職員ひとりあたりの公定価格の見直し⑤処遇改善等加算Ⅰにおける賃金改善要件分や人事院勧告改定差額分の支給方法の見直しが必要であるとも言われました。

いずれにしても現状の分析や課題を聞くだけでも難しい問題ばかりで、これから先の保育園運営がどうなるのか、続く厳しい運営が保育の質の低下に繋がりはしないかと不安が募っていくばかりでした。とはいえ、施設を運営していくために、この状況で何とかしていかなければいけないことには変わりはありません。今後も財務の視点を大切にしつつ、何かできるかをいろいろ模索しながら、子どもたちのため、職員のため、一番良い方法を考えて実践していきたいと思います。

(広報委員 高槻保育園 石井 縁)

講演②「子ども達のための持続可能な園経営を考える!」

講師:株式会社 福祉総研 桑戸 真二氏

「北九州の未来は明るくない」との衝撃的な言葉で始まった保育セミナーでありました。全国の主要都市の認可保育所・施設で今年4月現在の定員の空き人数は、コロナ禍前の2019年と比べ約1.5倍に増え、待機児童も各自治体で減少しています。保育所の利用児童数のピークは令和7年となる見込みで、毎年厳しい状況が続くと思われます。

令和4年の出生数予測が発表され、全国で約8万人、六年連続で過去最少を記録しています。その中でも北九州の少子化率は離島レベルでありマイナス7.4%、5,800人ほどの出生予定であるとのことですが、これから保育園の定員割れは必須と思われます。また、幼稚園が認定こども園に移行していくとき、0・1・2歳児の取り合いが起こり、そうなれば保育所はそれに敗れるであろうと予想されます。このまま定員割れが続くと保育園の体力がどんどん奪われてしまいます。今後は利用人数に応じた定員区分への変更を行い、今の子どもの処遇を守ることを考えてほしいとのことでした。

ここから先は想像を超える速さで保育園の経営状況は変わっていくので、過去の成功体験はもはや通用しなでしょう。いままでの運営を見直す力が必要であり、行き当たりばったりの経営は難しく、これからは足を止めず、進んでいかなければならないとのことでした。

この研修を受講し、背筋が凍る思いでありました。保育の質の向上、保育士確保に奔走してきた一方で、目の前に訪れている少子化ゆえの園児減少の現実。とても受け止めていたとは言えず反省しきりであります。じっくり考える時間はないと言われましたが、細かいところを積み上げ、より良い選択肢を見つけたいものです。今一度、子どもの育ちと子育て家庭を支える保育施設であるという認識の基、地域や子どもたちのために施設運営や職員育成を考えていきたいと切に思いました。

(広報委員 中原保育園 豊沢 いずみ)